「オープン記念キャンペーンをやったんですけど、その後が続かなくて…」
私がいつも通っていた美容院の担当者が独立して、自宅で美容室を開業したのこと。
久しぶりに行ってみると、オープンから3ヶ月。
売上はまだまだ不安定で、誰も来ない日もあるという話でした。
私自身、戦略のコンサルティングをしていますが、この美容室の状況は、多くの中小企業が陥る「典型的な罠」と全く同じでした。
ずっとお世話になってる美容師さんなのでオープン記念に2つの戦術を置いてきました。
オープンキャンペーンという名の「安売り」
この美容室、オープン時にこんなことをやっていました。
実際、私もこのキャンペーンを利用しました。
確かにお得感はあります。
炭酸シャンプーは気持ちよかった・・・でも、これは集客ではなく、ただの安売り。
お客さんは「安いから来た」のであって、「この美容師さんに切ってもらいたいから来た」わけではないからです。次回、通常料金に戻ったとき、果たして来てくれるでしょうか?
売上の公式はシンプル。
売上 = 顧客数 × 客単価 × リピート率
単発のキャンペーンは「顧客数」を一瞬だけ増やします。
でも「リピート率」には何の貢献もしていません。
むしろ「安い店」という印象だけが残り、通常料金での来店ハードルを上げてしまうこともあります。
これは戦術です。しかも、その先に戦略がない戦術です。
「戦術」を2つ置いてきました
そこで、私はその場で2つの戦術を提案しました。
戦術1:客が客を連れてくる仕組み

即効性はないですが、長い目でみるととても効果を発揮しやすい方法!
来店したお客様全員に、2枚の割引券を渡す。
そして、有効期限を必ず切る。
これは単なる「紹介割引」ではありません。構造として機能する設計があります。
- 自分用の券があるから、「次も来よう」と思う。
- 知り合い用の券を持っているから、誰かに「いい美容室見つけたよ」と話すきっかけができる。
- 有効期限があるから、「今度でいいや」で忘れられない。
そして、紹介された人がまた2枚もらえば、指数関数的に広がっていく可能性がある。
美容室は「場所」ではなく「人」につくビジネスです。
今回のように、前の店から顧客が付いてきてくれるのが理想ですが、独立したての場合、その母数は限られています。
だからこそ、「来てくれた人に、次の人を連れてきてもらう」構造が必要なんです。
戦略2:メンズのサブスク化

男性は女性と違い、同じ美容室に通い続ける傾向があります。これを活かさない手はありません。
提案内容
- 1年契約・12回セットで月額3,000円
- 通常1回4,000円なら年間48,000円 → 36,000円(12,000円お得)
これは「割引」に見えますが、本質は違います。
「リピート率」を最初から確保してしまう設計です。
男性客は月1回のペースで通うことが多くカットのみのシンプルなメニューが中心。
だからこそ、サブスクリプションとの相性がいい。
女性客は施術内容が変わるしホットペッパービューティーみて他のお店に行ってしまいがちなのでこの手法は向きません。
だからメンズ限定なんです。
この美容室の周辺には工場が多く、男性の単身世帯も多い。立地とも相性がいい。
ここまで考えて初めて、「戦術」が「戦略」になります。
戦略とは「誰に、何を、どう届けるか」の設計図
今回の美容室に足りなかったのは、この設計図です。
この「航路図」がないまま、チラシを配ったり、キャンペーンを打ったりしても、それは海図を持たずに航海しているようなものです。
風に流され、たまたま近くの島には辿り着けるかもしれません。
でも、目的地には着けない。
戦略なき戦術は、ただの「忙しさ」を生むだけです。
小さな店舗だからこそ、仕組みで勝つ
独立したての美容室には、大手のような広告予算はありません。でも、だからこそ「仕組み」で勝負できます。
これはWeb集客でも同じです。
「SEO対策をすれば売上が上がる」
「SNSをやれば集客できる」
そう思って始めても、その先に「誰に、何を、どう届けるか」の設計図がなければ、結局は戦術を繰り返すだけになります。
今回の美容室がこれからどうなるか、私も一人の顧客として楽しみにしています!
もし、あなたの会社も「戦術」ばかりを繰り返していて、その先の「戦略」が見えていないなら。一度立ち止まって、航路図を描き直す時かもしれません。
リージョン・コンパスでは、そうした経営者の方々と、じっくり向き合う戦略コンサルティングを提供しています。
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