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名前を変えただけで大ヒット商品に!青森りんご「落ちないりんご」のブランディング戦略

落ちないりんご

突然ですが、

「落ちないりんご」って聞いて何を思い浮かべますか?

「台風でも落ちなかったりんご?」
「縁起物として落ちないりんご?」

この名前だけでいろいろ想像してしまいますよね〜

落ちないりんごは実在する「会社名」であり「ブランド名」でもあります。

名前を変えただけで全国に知られるブランドになりました。

一体何があったのでしょうか??

落ちないりんご誕生秘話

ある年、収穫前の青森県を強い台風が襲いました。
りんご農家にとって、収穫前の台風は死活問題です。

強風でりんごが落ちてしまえば、商品価値は大きく下がり、その年の収入に直結します。

台風が過ぎ去った後、予想通り多くのりんごが落下していました。
しかし、すべてのりんごが落ちたわけではありません。

強風に耐えて、しっかりと枝に残っているりんごもあったのです。

このりんごが農家さんに勇気を与えて、台風に耐えたりんごを「落ちないりんご」という名前で販売し始めたのです。

「落ちない」が持つ意味

なぜ「落ちないりんご」という名前にしたのか。
それは、「落ちない」という言葉が、受験生にとって特別な意味を持つからです。

受験シーズンを控えた時期、「落ちる」という言葉は受験生や保護者にとって最も避けたい言葉の一つ。
逆に「落ちない」は、合格を連想させる縁起の良い言葉として受け止められます。

実際、日本には古くから受験にまつわる縁起担ぎの文化があります。

  • キットカット(きっと勝つ)を食べる
  • ウカール(受かーる)を飲む
  • 五角形(合格)の鉛筆を使う
  • 大井川鉄道「合格駅」に行く

この文脈の中で、「台風でも落ちなかったりんご」は強力な意味を持ちます。

結果、「落ちないりんご」は受験生本人だけでなく、保護者や学習塾などからも注文が殺到

通常のりんごとは全く異なる需要を生み出し、大ヒット商品となったのです。

大井川鉄道の合格駅の外観

何が変わったのか?何が変わらなかったのか?

ここで重要なポイントがあります。

「落ちないりんご」として販売されたりんごと、通常のりんごとして販売されたりんご。
この二つに、品質的な違いはほとんどありません。

台風に耐えた理由は様々な要因が考えられますが、味や栄養価に大きな差があるわけではないのです。
つまり、商品そのものは変わっていないのです。

では、何が変わったのか?

変わったのは「名前」と、それによって付与された「意味・背景」だけです。
しかし、この変化が、市場での評価を劇的に変えました。

🍎通常のりんごとして販売した場合

  • 購入者: 一般消費者
  • 購入動機: 食べるため
  • 購入時期: 通年(りんごが食べたい時)
  • 価格: 通常のりんご相場
  • 競合: 他の産地のりんご、他の果物

🍎「落ちないりんご」として販売した場合

  • 購入者: 受験生・保護者・教育関係者
  • 購入動機: お守り・縁起担ぎ(食べることは二次的)
  • 購入時期: 受験シーズン集中
  • 価格: プレミアム価格設定が可能
  • 競合: 他の受験お守りグッズ

同じりんごなのに、ターゲット、購入動機、販売時期、価格設定、競合、すべてが変わっています。

これがブランディングの力です。

ブランディングとは?

羅針盤

多くの事業者が陥りがちな誤解があります。
それは、良い商品を作れば売れるという考え方です。

もちろん品質は重要です。
しかし、品質だけでは不十分なのです。

なぜなら、顧客は商品そのものではなく、その商品が持つ「意味(ベネフィット)」を買っているからです。

「落ちないりんご」を買う受験生や保護者は、りんごの糖度や食感を重視して購入しているわけではありません。

「受験に落ちない」という縁起、つまり「意味」を購入しているのです。

ブランディングとは、商品やサービスに適切な「意味」を与え、それを顧客に伝えることなのです。

自社の商品・サービスに適切な「意味」を与えるには?

「落ちないりんご」の事例から学べるポイントは、既にある事実を再認識するということです。

🍎「落ちないりんご」の農家の考え方

事実

台風でも落ちなかったりんごがある

言葉の抽出

「落ちない」という特徴

顧客の文脈

受験シーズン、受験生は「落ちたくない」と思っている

意味の転換

落ちない」りんご = 受験に「落ちない」= 縁起が良い

提供価値

お守りとしてのりんご

農家は新しい品種を開発したわけでも、特別な栽培方法を編み出したわけでもありません。

既にあった事実(台風でも落ちなかった)を、顧客にとって意味のある価値に翻訳しただけです。

自社のビジネスで考えるべき3つの質問

老舗の居酒屋

1.あなたの商品・サービスには、どんな「事実」がありますか?

これはあなたが当たり前だと思っている特徴かもしれません。

  • 創業50年の老舗である
  • 地元の素材だけを使っている
  • 職人が一つ一つ手作りしている
  • 修理対応を永久保証している

2.その事実は、顧客のどんな悩みや願望と結びつきますか?

同じ事実でも、顧客の状況によって意味が変わります。

  • 創業50年
    • 「信頼できる」「安心」「伝統の味」
  • 地元素材のみ
    • 「新鮮」「地域貢献」「安全」
  • 手作り
    • 「丁寧」「特別感」「温かみ」

3.競合と違う「あなただけの事実」は何ですか?

大手にはできない、あなただけの特徴が必ずあるはずです。
これらの「事実」は、すでにあなたのビジネスの中に存在しています。

必要なのは、それを顧客にとっての「意味」として翻訳する視点です。

リージョンコンパスの鈴木さんは?

私自身は「戦略を描く航海士」と名乗っています。

これを言うと

  • 本当に航海してるんですか?
  • ワンピースでいえばナミですね笑

という話もあり、

私からも中二病なので笑
という冗談も言ったりします。

何回かお会いすると

「あっ、航海士さん」

と読んでくださる方もいます。

今ご覧になっているホームページも全て航海の例えで表現しています。

トップページの画像が微妙に揺れているのは船長室内での出来事という細かい設定も入れています笑

まとめ

小さな変化が大きな成果を生む

「落ちないりんご」の事例は、ブランディングが必ずしも莫大な予算を必要としないことを教えてくれます。

農家が行ったのは、ただ「名前を変えた」だけ。

しかし、その名前の背景にあったのは、既にある事実への気づき、顧客の文脈への理解、事実と顧客を結びつける発想でした。

あなたのビジネスにも、まだ気づいていない「落ちないりんご」が眠っているはずです。
それは、すでにあなたが持っている事実の中に隠れています。

大切なのは、その事実を「顧客にとっての価値」として翻訳する視点。
そして、それを適切な言葉で伝えることです。

名前ひとつ、コンセプトひとつで、市場での評価は変わります。


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